巖谷國士講演★港区の歴史と文化「岡本太郎」

港区の歴史と文化をとおして岡本太郎を読み解く!

今年もはじまりました、港区の歴史と文化シリーズ!
いままで、島崎藤村や永井荷風、「赤い靴はいてた女の子」のきみちゃんなど、この土地にまつわるさまざまな人についてお話してきた★先生。今回は岡本太郎をとりあげるとおっしゃいます。

 

まずはここ港区がどんな地であるかということを、

高輪や赤坂の地図(江戸、明治、昭和、現代の4種!)を示しながら、
川について、7つの丘について、坂や階段や崖について、寺について、武家屋敷について、駅について、墓地について、山の手と下町について……めくるめくお話されます。

その臨場感にはまるで観客も一緒に町を歩いているようで、時代も江戸~平安~縄文と旅していきます。山と谷だらけの、森の縄文世界が広がります!

 

この縄文の土地勘を、生まれながらに持っていたのが岡本太郎ではないかと★先生。
一平とかの子を父母に、北青山、京橋、白金の自然の中で育ち、パリへ渡り、戦争がはじまると兵隊にとられて5年間も中国の奥地で殴られ続け、復員してまた生まれ育ったこの地へ……★先生が太郎の書いた文章、「生命の交歓」や「崖の家」(『リリカルな自画像』より)を読みといていくと、いかに太郎が自然のアーティストだったかが明らかになっていくのです。

 

★先生の読み、これは感動的な体験でした! 自然との一体感が基本にある太郎、その自然とはまさにこの港区の自然なのです。虫と人間も融合し、「人間みたいなもの」になっていく……

 

その後★先生が上映してくださった太郎のスライドでも、森の世界や「人間みたいなもの」がたくさん登場してたまりません。縄文土器や秋田のなまはげ、沖縄は久高島のイザイホーや御嶽(ウタキ)など、日本列島が再発見されていき、万博で太郎が人類の「進歩と調和」ではなく「原始と混沌」をめざしたと話されるのには会場も大興奮でした。

 

★先生のお話で、自然によってその地域の歴史と文化がつくられることを実感しました。こうした視点から★先生が語る岡本太郎には、本当に目からウロコが落ちました。すばらしかったです!次回も楽しみです!

(okj)