巖谷國士★大月雄二郎トークイヴェント「鉄器時代」@LIBRAIRIE6

大月さんの今回の展覧会「鉄器時代 L'âge de fer」、会場に入ると圧倒されます。何十キロもある鉄の鋳物、ジャッキ、すでに用途をなくした廃品たち・・・そして15センチ四方の小さなキャンバスたくさん。巖谷先生のおっしゃるように、これらはみんな人間みたいで、もの悲しくて、おかしくて、かわいくて、切ないのです。

 

巌谷先生によって語られる、大月さんと鉄との関係。哲学と鉄学!「鉄の時代」について、歴史的には石器時代までさかのぼり、ヒッタイトの登場や遺跡、それにまつわる映画まで紹介し、さらに神話的には「黄金時代」から「銀の時代」、「ブロンズの時代」を経て「鉄の時代」に至る状況を、現代という時代や現代日本を鋭く分析しながら象徴で語ります。

 

鉱物としての鉄や、漢字としての鉄、大月さんの「鉄の時代」感覚や言葉遊び、パリのアトリエの様子、ポップとレトロ、産業革命と鉄、鉄道……とお話は次々と展開し、東西南北・古代と近代の都を駆けるオリエント急行の走った都市でアール・ヌーヴォーが栄えたという★説が紹介され、目からウロコのお話の旅に!

 

エッフェル塔と東京タワー・東京スカイツリーの決定的な違いが、アール・ヌーヴォーと鉄の視点から指摘され痛快そのもの! ルイス・ブニュエルの『昇天峠』よろしく、メキシコで★先生の乗ったバスがエンコして、大月作品のようなジャッキでバスを持ちあげたお話も映画的に展開。

 

今回の展覧会と、巖谷先生と大月さんの対談により、鉄の時空が明らかになり、鉄に対する見方が一変しました。まさに哲学、鉄学!すばらしかったです!(okj)