〈遊ぶ〉シュルレアリスム展@徳島県立近代美術館

徳島県立近代美術館
徳島県立近代美術館

 

「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」展が徳島県立近代美術館

(2013年4月27日〜6月30日)で開催されました。

 

「人間像」をテーマにした収集方針をおもちの美術館ですが、

★先生の目を通して見ると(つまり、シュルレアリスムの目をもってすれば)、じつはひそかにシュルレアリスム作品と関連資料が数多く所蔵されている、日本屈指の美術館であることがわかります!

 

この美術館の建物自体もふしぎ……。まるでマグリットの絵のような〈遊び〉すら感じられますね!

 

今回のシュルレアリスム展(通常あまり展示していなかった所蔵作品も多数出品していらっしゃるそうで!)、なにより徳島の所蔵品をいずれも並べて見ると面白いんです!

だって「人間みたいなものたち」がずらり!

 

ダリのパンを戴いた女性像とメタモルフォーズ(変身)版画、

デュシャンのエロス男女とひょいひょい手作業による花嫁たち、

そのデュシャンの横顔を、ジャスパーが不思議なポートレートにして、

瑛九もかの地で好き勝手に人間みたいなものたちを作っている……

ピカソのせいで顔が曲がったドラ・マールだけど絵と肖像写真はなんとなく似ていて……

 

マッタのおもしろ人体像にあぽーん、

ベルメールの美しいデカルコマニー人体にほぅ、

エルンストの油彩や版画はもう人体像の枠を超えていて、

 

極めつけは

アルプ、ジャコメッティ、ミロ、キリコらのブロンズ!

コールダーのいかり肩のぺらぺら人間には賛美の声をあげたいほどです!

「人間みたいなあなたたち!なんてふしぎでかわいいの!」

 

彼らと一緒にからだをぐーんと伸ばしてみたくなります!

顔をよせたり、穴からのぞいてみたくなります。

 

こういう感じ方、よろこびと解放感は、

シュルレアリストたちが私たちにあたえてくれる感覚で、

み〜んな、世界と、自然と、地球と、宇宙とつながっている存在★

であることを認識させてくれます。

 

いつも★先生が「あんな人が前から近づいてきたらどうしますか?」と

私たちに聴くのを、思い出してしまいます!

 

徳島県立近代美術館のコレクションはそれほど楽しいものばかり!

 

そして展覧会には担当学芸員の友井さんのアイディアもりだくさんのワークショップもあって、観客は「人間みたいなものたち」を自分の手で作ったり、見つけたり、

それこそ、からだを動かすことで「人間みたいなもの」に

させられてしまうのでした〜!

 

 

5月11日には★先生の講演会がありました。

参加者は講演会のあとも旅(遠足)をして、徳島のさまざまなものに出会ったそうです!

コメント: 0

巖谷國士著 書籍『森と芸術』の魅力をさらにひもとく

巖谷國士著『森と芸術』(平凡社刊)
巖谷國士著『森と芸術』(平凡社刊)

まさに「森から森へ」、あらゆる森の様相と本質をとらえ、さまざまな歴史と地理と生態系とジャンルを跨いでさまよい、広く深く世界・宇宙を旅してゆく森と芸術の叙事詩です。

 

『森と芸術』★目次より

     はじめに

 序 章 森から森へ(ギルガメシュの森〜ドングリの森〜縄文人の森〜古代ローマの森〜シベールの森)

 第 1 章 楽園としての森

 第 2 章 神話・伝説の森

 第 3 章 風景画のなかの森

 第 4 章 アール・ヌーヴォーと象徴の森

 第 5 章 庭園と「聖なる森」

 第 6 章 メルヘンと絵本の森

 第 7 章 シュルレアリスムの森

 第 8 章 日本列島の森(岡本太郎の森〜ジブリの森〜東京の森〜福井の森〜北海道の森)

 

収録図版はオールカラーで250点以上。(★撮影による写真作品もこっそり入っています)

ほかに30以上ものコラムと、特別寄稿「森のシュルレアリスム博物誌」(東京大学総合研究博物館長・西野嘉章)があり、索引、主要参考文献、作品リストまで入っています。

そして最終ページには、震災勃発後の3月18日に記された「後記」。これは必読です。

この本は1月29日の最終講義の直前に書きはじめられ、3月1日に脱稿、震災のあいだに校正を終えました。「この列島の人々のために書かれた本」ともいえますし「最終講義につながる内容」でもあります。

 

★本についてのコメント 掲示板より

「文章がすばらし い~。おとぎ話のような語り口で、本質的なこと、意外なことが、さらりと表現されている!ギルガメシュからドングリ、縄文から古代ロー マ、そしてシベールへ!なんというスリリングな展開なのか!(…)しかし切ない本です。大地震と原発事故という異例の時期に登場したこともあって、文明の 宿命を感じさせます。それと同時に、例外的な活力を内に秘めている。未来に向かって開かれた生命体のような本。(…)震災後の日本列島がどう変わるのか、 楽しみです。」(AH)

 

「全体をパラパラ見 ているだけで、素晴らしい本だとわかります。後記のあのニュースは私もテレビで見て涙が出ました。人生はときにひどく苛酷で、はたして ここからどう這いあがっていいのか見当もつかず、絶望の底で虚無感に苛まれ、どうしようもなくうなだれるばかりの日々…しかし、生きているなかで、きらき らした大切な何かを感じる一瞬のためにそのほかの時間も生きている意味が絶対にある!のだということを、あらためて心に刻みつけてくれました。未来を信じ て私も心の中に一本の木をひそかに植えよう…素敵な本を書いてくださり、ありがとうございました。」(MK)

 

北海道新聞 2011年9月5日/6日/7日 夕刊(文化欄)

「森と芸術」展に寄せて(執筆:巖谷國士)

北海道新聞(9/5,6,7夕刊)「森と芸術」展に寄せて(巖谷國士執筆)
札幌芸術の森美術館で開催された「森と芸術」展への案内として、
巖谷國士先生の文章が3日間にわたって掲載されました。
森と芸術展に寄せて(上中下).zip
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「森と芸術」展が札幌芸術の森美術館へ巡回しました!

札幌芸術の森美術館
札幌芸術の森美術館

森と芸術展が札幌芸術の森美術館(9月3日〜10月23日)を巡回しました。

最終会場ともなる第3会場は日本列島のなかでもかけがえのない「森」を有する大地、北海道においてでした!

 

展覧会オープン当日に★先生の講演会がありました。

そして参加者は講演会のあとも旅をして、

札幌のさまざまなものに出会ったそうです!

以下↓ゲストBookのコメントに書き込みをお願いしま〜す!

コメント: 7
  • #7

    miya (月曜日, 03 10月 2011 18:03)

    ★サッポロの森と芸術展



    大型台風が近づいているせいで眠れなくいたら、札幌芸術の森の「森と芸術」展のさまざまな森の部屋が思い出されました。



    東京都庭園美術館では、森展のために全国から集められた作品がそれは見事に空間に調和し、訪れるたびに、その場所に展示されたセンスに感動していました。ボーシャンが描いたのびやかな「楽園」もクールベのなんともいえない深く蒼い森の絵も、ディアズ・ド・ラ・ペーニャのジプシーの少女たちも、アールデコの館に常設で飾られているかのようです。エミール・ガレのウサギとフクロウは瀟洒なマントルピースの上にいつもちょこんと鎮座。一緒にいった友人は、「アール・ヌーヴォーと象徴の森」の部屋にあるガレの風景文ランプはインテリアとして普段から置かれているものと勘違いしていたようです。特に、『森と芸術』のカバーにも使われたセリュジエによるブルターニュのアンヌ女公と騎士たちは、あの部屋の壁に掲げるために注文されたとしか私には思えませんでした。



    ですので、福井の「森と芸術」展を見たときは、もう驚きでした。東京とはまったく違う印象の空間になり、白い壁を背景にひとつひとつの作品に吸い寄せられるように、版画にごく小さく描かれた森の生き物の数々を目で観察し続け、★先生のご著書『森と芸術』の第1章から第8章の森の部屋をめぐるのに2日間かかりました。福井の恐竜や化石もいっしょに登場したことで、地球という惑星の太古から現代までの森の記憶をパラパラと眺めるようでもありました。



    それで、札幌の森展です! 
日本列島を旅して、北の大地に還ってきた展覧会ということを体感してしまいます。
この展覧会を追っかけて見つづけるまで、巡回展は同じ作品が同じように展示されていると思っていました。
しかし、会場ごとに作品から自分に呼びかけてくるというか、光って見えるものがまるで違うものなのですね。

まず、マコマナイ(真駒内)という不思議な地名にある札幌芸術の森のなかに、ギュスターヴ・ドレの魅惑的な目で誘う「赤ずきんちゃん」のポスターを見た際にどきどきした感覚。
★先生の講演会が始まる前に急ぎ足で会場をまわりました。「楽園としての森」「神話の伝説の森」に登場する版画の数々は東京とはほとんど入れ替わり、さまざまなエヴァや悪魔や妖精や生きものが現れます。ボーシャンの赤い衣装をまとった森の精たちは、ますますのんびりだらりとリラックして大きく見えて、洞窟にいるニンフたち(特に男性)はもうどうしようもないほど!です。

ディアズ・ド・ラ・ぺーニャの森の小径とジプシーたちは、絵の奥のほうから光輝いていて、★ツアーの私たちは「えーっ、どうして?」と叫び声をあげてしまったのでした。アール・ヌーヴォーの部屋は美しい光が灯され<ガラスの森>そのもの……。スワンメルダム『昆虫誌』に17世紀に描かれた虫の挿絵とガレのカマキリ文様のグラスがいっしょにあって欲しくなり……とにかく幻想的な場所なのです。

でも、でも、「絵本とメルヘンの森」は、どの会場の中でも一番ここが好きです。白いレースのカーテンを通り抜けて中に入ると、赤ずきんちゃんや親指小僧やヘンゼルとグレーテルなどの挿絵が壁一面に飾られ、ケースの中のメルヘン絵本の世界はそれはそれは可愛いのですけれど、なぜか苦しいほどにせつないのです。あのメルヘン絵本の森に分け入りたくて、もう一度札幌行きを考えているところ。続くシュルレアリスムの森でミロの「人と鳥」に出会ったとき、それまではどうしても人に見えなかったのに、瞬間的に、人と鳥だ!と思いました。人と鳥をぐるりと囲むようにして、エルンストやアルプのオブジェたちがワイワイおしゃべりしているようで、楽しそう。

心にズンときたのは、北海道の大地と一体化した砂澤ビッキの木彫。近づいて行き間近で見るまでは、横たわった大木「風に聴く」が人の手とノミで刻まれた跡であることが信じられませんでした。

    福井の恐竜博物館で見た古代の波紋が思い出されもしました。★先生の講演会を聴いた私たちはビッキさんの「四つの風」を今すぐに見なくては!という気持で、台風の影響による小雨の中を駆けるように屋外美術館に飛び出し、途中でたくさんのキノコたちに興奮しながらも「四つの風」に辿りつき、その姿にまた立ち尽くし、しばらく離れることができませんでした。

あっという間に閉館時間となり、芸術の森の屋外美術館に70余りもあるという彫刻はほんの数点見ただけで帰らなくてはいけなくて、とても残念でした。
北海道は秋が深まり、北方特有の植物が違う装いを迎えていることでしょう。いま思い出しているうちに、あと一度札幌に行きたいなあと思っています。

  • #6

    やまもと (火曜日, 13 9月 2011 20:39)

    いいなあ北海道の森展!

    東京の森に始まり 福井からいま、北海道へ。 
    展覧会のあとの野外彫刻と北大植物園を回るコースとモエレの沼へ!


    いかれなかった私は、北海道新聞夕刊に連載された
    巖谷國士の<「森と芸術」展に寄せて> 
    という記事を読んで想像しているところです~ 

    砂澤ビッキ、いいなあ… 

  • #5

    あぺえると (木曜日, 08 9月 2011 13:37)

    森と芸術展★ツアーを敢行してくださったみなさん、どうもありがとうございました!
    台風12号の影響もありましたが、あいにくの雨をものともせず、じつに意欲的(!)に、美術館と札幌と北海道の森を体感したことが、これからここにも記されることでしょう。

    森と芸術展の最終会場となる札幌芸術の森美術館は、まさに雄大な森のなかの美術館、その背後には野外彫刻が70数点も点在し、さまざまな植物(キノコやカエル、カメムシまでもが美しい!)とともに共生しています。

    圧巻はビッキの「四つの風」、まさに風雪の鑿(ノミ)にさらされて、すでに2本が倒壊したその姿は、烈しい様相を呈しています。大きなイガをたわわに抱えたクリの木や、赤い不思議な実(大きな白いモクレンのようなハスのような花を咲かせる)をもつホウノキなども、「四つの風」のまわりで「我こそは鑿になろう」としているのでしょうか。

    さらに奥へ進めばノルウェーの作家ビーゲランやイスラエルの作家カラヴァンの彫刻も見られます。秋雨のようなしとしと優しい雨のなか、さまざまな植物に出会いながら、これらを見られたことは本当に幸福でした!

    そして「森と芸術展@札幌」を訪ねる人に、ぜひ展覧会を鑑賞したあと出かけてほしいコースがあります。

    なにより北大植物園を忘れないでほしいです。
    ここには、じつに大切な北方民族資料室と博物館があります(→展覧会の東京大学博物館の博物標本たちにつながる!)。

    植物園には、ハルニレの大木やアカエゾマツ、クルミやライラックの木々がざわめきあっています。オオフキの傘の下やトクサの森の下にはコロボックルや妖精がいるかもしれません。北海道の先住民族の菜園(トリカブトなど)や温室のサボテンやシダ、パイナップルに食虫植物も、まるでおとぎばなしの魔女の庭やお菓子の家があらわれたよう……

    北海道で森と芸術展を見る幸運な人へ。
    展覧会のあとの野外彫刻と北大植物園を回るコース、オススメします!

    もちろん余力のある人はモエレの沼へも! 北海道の大地を感じてほしいです。

  • #4

    okj (土曜日, 20 8月 2011 23:02)

    札幌ツアー実現です!
    そうなんです、まさに展覧会自体が日本の森をめぐる旅。
    札幌ではどんな森が、★先生はどんなお話を、楽しみです~!

  • #3

    AH (日曜日, 07 8月 2011 16:51)

    すごい、札幌ツアーが実現したらいいですね!(実現しそうですね)
    展覧会自体、日本の森をめぐる旅になっているのですね。

  • #2

    okj (日曜日, 26 6月 2011 23:22)

    庭園美での森展は残り1週間、どんどん混んできますね~、ミヤギさんにもばったり出会えてうれしうれし!何度行っても、いろいろなものが新たにきらめいてくる!今日はボマルツォと沖縄ウタキの木漏れ日を直に浴びてすっかりやられてしまい……日本列島土地さまざま、福井と札幌ではまたちがった現実があらわれてくるのでしょうね。どちらも参加した~い!

  • #1

    ミヤギ (火曜日, 14 6月 2011 00:10)

    札幌★森展ツアー!参加したーい。
    生まれてはじめての北海道上陸です。アイヌの人たちの顔立ちや美しく不思議な響きのことばや歌に懐かしい気持をいつも覚えます。
    札幌はおいしい食べ物がたくさんありそう!

7月29日(金)より「森と芸術」展が福井県立美術館へ巡回します!

福井県立美術館
福井県立美術館

「森と芸術」展が福井県立美術館(7月29日〜8月28日)に巡回します。

第2会場は、日本の恐竜のメッカ、福井県です!

 

この会場では、恐竜の棲息した時代にまでさかのぼり、太古の昔の森ってどんなだったろう?と思いを巡らすことができるでしょう! 

展覧会オープンの当日29日にも★先生のギャラリートークがあり、翌30日にも講演会がありました! 

コメント: 2
  • #2

    ミヤギ (火曜日, 14 6月 2011 00:03)

    福井ツアー参加希望です。
    カタログを見ると、庭園美術館とは展示されるモノがかなり違いますし、
    「福井の森」はなにしろ〜恐竜〜も登場ですよ!
    ★ぜみの旅になると、楽しさ見え方歩き方がまるっきり新発見のオモシロサになりそうです。

  • #1

    屋良 (月曜日, 13 6月 2011 23:01)

    こんばんは!屋良です。
    福井ツアーですが、現在参加希望です〜!!
    交通手段ですが、飛行機で小松空港行きが、ANAだとスーパー特割で現在片道1万円ほど、
    宿は現在探している途中ですが、安くて面白そうな宿がありそうです♪
    出発・帰日を今絶賛検討中です〜。みなさまよろしくお願いいたします!